
和モダンってなに?
今回は、当建築事務所のデザインコンセプトである「和モダン」についてお届けしたいと思います。
和モダン建築のいいところは、どれだけ時を経ても、廃れることのないスタイリッシュな空間に仕上げることができる点です。
ですが「和モダン建築」と聞くと、そのイメージは人によって全く異なります。
それは、和モダンという言葉の定義があまりにも曖昧だからです。
そこで、今回は「和モダン」とは何なのか?その定義について解説しながら、スタイリッシュな和モダンハウスを作るコツをお伝えしていきたいと思います。
和モダンの定義をしっかりと押さえておけば設計士さんとのやり取りにもズレがなくなり理想通りの家を建てることができるようになります。
和モダンとは、読んで字のごとく「和」のエッセンスと「モダン」のエッセンスをかけ合わせて作るデザインのことです。
「和」×「モダン」 =和モダン
ということになります。
つまり、「和モダン」デザインを理解するためには、
「和」と「モダン」、それぞれの言葉が持つ意味を理解すれば良いということになります。
「モダン」という言葉の曖昧さが分かりにくくさせている
和建築にはたくさんのルールが存在しています。
「和」とは、いわゆる日本が奈良時代以降に培ってきた文化を指していて、おそらく多くの方が同じようなイメージを抱くことができます。
瓦、畳、格子戸や襖、縁側など日本特有の文化があり、大きくズレることはありません。
それはなぜかというと、「和」には、たくさんのルールが存在しているからなんです。
たとえば、茶室や床の間など、一つの空間の中に格子戸の作り方や木の組み方などたくさんのルールが存在しているからこそ、どの空間を見ても統一感を感じることができます。
ルールがある。だからこそ和風という統一感のあるイメージを作れるということです。

では、「モダン」という言葉についてはどうでしょうか?
おそらく人によってイメージが様々で、これほど曖昧な言葉はないのではないでしょうか。
それはなぜかというと、
モダンとは和とは対称的に「これまでのルールを壊し、新しいものを作る」ことだからです。
コンクリートの打ちっぱなしの建物や、ガラス張りの建物など、多種多様な建築を思い浮かべることができます。
またはデザイナーズマンションと呼ばれるような一風変わったデザインや、近未来的な建物など、そこには統一性が全くありません。
つまり、「モダンデザイン」の特徴をあげるとするなら、それは決まった形やルールが存在しないということになります。
これが「和モダン」というデザインをわかりにくくさせている大きな原因になっているのでしょう。
モダンとは「今現在においての最新のデザイン」
また、モダンを日本語に直訳すると「現代的」という意味になります。
言い換えるなら「今現在においての最新の主流のデザイン」ということになります。
もちろん20年後に作られるデザインも20年後の時代では、それがモダンになります。
反対に20年前のデザインであっても、その当時はそれがモダンなわけです。
さらに言えば、今年のモダンなデザインと去年のモダンなデザインも違っています。
つまり、「モダンなデザイン」とは、ルールがないからこそ、時代とともに常に変化し続けているということになります。
和モダンとは
ここで一度話を整理したいと思います。
- 「和建築」とは、日本が古来から培ってきた文化であり、そこにはたくさんのルールが存在しています。
- 「モダン建築」とは、これまでのルールを壊し、これまでにない新しい様式を目指して作られた建築であり、現時点においての最新のデザイン
ということなります。
そして、これら2つの相反する要素を掛け合わせて作られるのが「和モダン建築」ということになります。
いかがでしょうか。
和モダン建築について少し理解を深めて頂けたかと思います。
モダンだけを追求すると廃れてしまう
ところで、私が考える「和モダン建築」のメリットは、
どれだけ時間を経ても廃れることのない愛され続ける、かつスタイリッシュなデザインや空間を作れる点にあります。
これは「和」と「モダン」どちらの要素が欠けても成立しません。
たとえば、モダンだけによった建築は時代とともに廃れていくケースが圧倒的に多くあります。
先ほどもお伝えしましたが、モダンは「あくまで今現時点において新しいデザイン」であって、10年も経つとそれは古いデザインへと変わってしまうからです。
たとえば、平成に建築されたモダン建築を今見返してみると、そこには新しさよりも、どこかなつかしい印象を受けてしまいます。特にバブル期に建てられた建物はより顕著です。
他にもデザイナーズマンションとして当時売り出されたマンションも、改めてみてみると、少し古めかしい様子を感じることができますよね。
モダン建築は時代とともに風化していく傾向があるということです。
飽きのこない和建築
これに対して、和建築は、どれだけ時代が立っても風化しないという特徴があります。
京都の街並みがいい例でしょう。
10年前に訪れた時も、今訪れた時も、さらには10年後訪れたとしても、きっと感じる印象は同じ。
「廃れたな〜」という印象はありません。
どれだけ年月が立っても、味や風情、情緒ある雰囲気を感じさせてくれて気持ちをほっこりとさせてくれますよね。
しかし、反対に新しさや斬新さ、スタイリッシュさを演出することが難しい点があります。
京都のように歴史的建造物であればいいのですが、自分たちがこれから毎日すむものがそれだと困りますよね。
廃れることなくずっと愛され続けられるデザイン
だからこそ、スタイリッシュさを持つ「モダン建築」と廃れることのない「和建築」を掛け合わせることで、ベストな家を作ることができるのです。
たとえば京都には古民家に大きなガラスやコンクリートなどの素材を掛け合わせアレンジされたオシャレなカフェなどがたくさんできています。

まさにこれらは和モダン建築といえるでしょう。
京都らしいリラックスできる空間と、スタイリッシュで切れ味のある空間が共存していますよね。