CASE3:何気ない日々を彩る洋食レストラン『LIFE』

Vol.2

お子様づれでも気軽に立ち寄れるお店に

次にこのお店のレイアウトについて、解説していきたいと思います。

このお店は、席数の半分が座席スペースとなっています。 座敷にした理由は、お子様を持つ親御さんにとって居心地が良い場所を作りたかったからです。

たとえば赤ちゃん連れの方にとっては、座敷であれば、赤ちゃんを隣に寝かせながら、食事を楽しんでもらうことができますし、やんちゃ盛りのお子様と一緒にこられる場合でも、十分に遊べるスペースを取ることができます。

だからこそ、できるだけ落ち着いて過ごせるよう仕切りとなる壁を設置してはいるものの、完全な個室にはせずに、ゆったりとしたスペースを取れるようにしています。

お子様連れのお客様も、そうでない方も、その両方が楽しめる空間

ここで気をつけたかったことは、静かに落ち着いて過ごしたいお客様と、お子様づれのお客様、その両方にとって気持ちよい空間づくりでした。

そこで考えたことは、レストランのエントランスを起点に、お互いが過ごす空間が自然と別々になるように配置することでした。

ですので、座席スペースはエントランスを背にして、右隣に配置し、一方のテーブルスペースは、エントランスの真正面に配置し、座席スペースとテーブルスペースの間に距離をおくことにしたのです。

このように、座席スペースとテーブルスペースを分けることで、お子様連れの方は座席スペースへ、そうではない方はテーブルスペースへ自然と足を運んでいただけるので、お子様づれとそうではない方、お互いが気兼ねなく落ち着いたひとときを過ごせるようになります。

 

 

アクセントとしても楽しめるカウンター

当然、一人で雰囲気を楽しむために訪れる方もいらっしゃるのでカウンター席も用意しました。

カウンターを奥まったところに設置した理由は、お一人のお客様がゆっくりと心ゆくまで楽しめるようにです。

またカウンターに座った向こう側に、人がたくさん見えると落ち着きません。ですので、座った向こう側には、暖かい灯に照らされた壁を配置し、そこに飾りを彩るように様々な種類のアルコール類をおいています。

さらに、落ち着いた雰囲気に、より浸かり込めるよう、このカウンター部分の天井だけ、一枚の木の板を設けて天井を低くしています。

天井を低くすることで、隠れ家のような雰囲気を感じることができ、お酒を美味しく楽しむことができます。

この板の上部分を見てもらいたいのですが、宙に浮いているように見えませんか。実はこれ、板の中央部分を天井から棒を使って吊るしているのです。

ですから下から見上げると、その棒が見えないため、宙に浮いているように見え、デザインとしての面白さを感じることができます。

このように、機能的なデザインに配慮した上で、遊び心をいれていくことも建築家としての、 大切な役割だと考えています。

 

時には大胆になる

次に注目してもらいたいのが、この建物の床です。

一見、普通の床に見えるかと思いますが、実はこの床、最初は、大きな段差がありデコボコになっていました。

確かに床に段差があることでオシャレになりますが、このお店のメインのお客様は主婦の方やファミリー層です。 例えば、妊婦の方がつまずいては大変ですし、お子様が転んでしまう可能性もあります。

また、両手に買い物袋を持った主婦の方にとってもこの段差は辛いものだと感じました。

ですので、デコボコの段差を埋めて、床の高さを一段上げ、フルフラットにしたのです。これで、どんなお役様にとっても安全で歩きやすい床となりました。

 

しかし、、 床を一段上げたとういことは、上げた分だけ天井が低くなるということです。

ですので、今度は天井板を取っ払い、天井までの高さを広くとることにしました。

そして、天井板を取っ払うことで剥き出しになる空調設備や配管については、視界の邪魔にならないよう、全てを黒色に塗ることで、奥行きのある開放感を演出したのです。

やはり、その空間で過ごす人にとってのベストを追求しなければいけませんし、そのためには大胆な判断も時には必要になります。

 

お客様像からの設計

もちろん、床の段差を埋めたり、天井板を取り外さず、もともとあるものを活用すれば、労力や時間をかけずに作ることは可能です。

けれども、それによって建物そのものが機能性が失っては本末転倒となってしまいます。

全ては、その空間で過ごす人を起点に設計される必要があり、そのためには、たとえ時間や労力がかかったとしても、ベストな道を選択することが大切になります。

このような1つ1つの判断も建築家にとっては大切な仕事だと考えています。

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