CASE2:「当たり前」を真剣にこだわりぬいた家

Vol.2

寝室を1階に、リビングは2階へ

この家のもう一つの特徴は、普通は2階にある寝室を1階に持ってきて、1階にあるリビングやキッチン、ダイニングなど生活スペースを2階に持ってきたこと。

つまり、一般的な生活スペースの配置を真逆にしたということです。

これは決して奇をてらったわけではなく、静かで過ごしやすい空間を作るためです。

この家がある敷地は集合住宅地です。

集合住宅の敷地は限られた土地の中で、できるだけ多くの家を効率的に配置できるよう、どの家の敷地も同じように作られています。

たとえば、日当たりや向いている方角、敷地面積、敷地の形などすべてが同じように作られているのです。

当然、このような同じ条件のなかで、効率的に家を建てようとすると、すべての家の間取りやデザインが同じになりがちです。 たとえば、庭や玄関の位置や大きさ、ベットルームやリビング、キッチンの場所など、全てが同じように設計されます。

実際に集合住宅地にいくと、同じような家が並んでいるのはこのためです。 そうすると、何が起こるのかと言うと、どの家も、同じ時間に同じ場所で同じ生活サイクルが生まれることになります。

 

 

全ての家の間取りが同じように作られているため、たとえば夜ご飯の時間帯はどの家も、同じ場所にあるキッチンで料理をして、ダイニングで夕食をとることになります。

当然、右隣の家からも、また左隣の家からも夕食のガヤガヤしている感じが伝わってきてしまい、生活の騒音や匂いなどが漏れてくる可能性があります。

ですから、リビングやキッチンをあえて、周りの家とずらして2階に持ってきました。そうするとこで、他の家が1階で夕食をとっている時、我が家では2階で夕食をとることになるので、とても落ち着いた環境の中で過ごすことができます。

また、みんなが2階のベットルールで寝静まるころ、我が家では1階で寝しづまります。

これは決して奇をてらい、リビングを2階へ、寝室を1階へ持ってきたわけではなく、あくまで家族全員がその日の疲れを癒す場所としての家を考えた結果でした。

また、「リビングを2階にすると不便かもしれない」そう考える方もいますが、マンション暮らしがスタンダードになったいま、ほとんどの自宅は、2階以上にありその生活様式に慣れているのであれば問題ないと考えたのです。 

 

居心地の良さとデザイン

デザインについても生活する中で、違和感を感じたり騒がしくならないことを意識して、使う木の種類はたった1つに絞りました。使っている木の素材は「タモ」。

タモは、薄い木でありながら年輪の木目がはっきりとしているのが特徴です。

たとえ同じようなベージュ色の木であっても、タモ以外に幾つもの種類の木を使ってしまえば、その微妙な違いが、その空間に大きな違和感を与えてしまいます。

また、やすらぐ家をテーマにしているので、徹底的に自然素材の良さが引きださせるデザインにしたのもポイントです。

例えば、このタモをキッチンにもあしらい、セラミック的な冷静さや冷たさを抑えました。

使っている色は、白と黒とベージュの3色です。白と黒色だけでも、十分スタイリッシュになりますが、モノトーンだけですと、どうしても落ち着きや安心さを表現できませんので、そこにベージュ色を加えました。

 

 

素材の魅力を徹底的に引き出すデザイン

家の主人公は、そこに住む人であり、その人のために全ては設計される必要があります。

そこでまず考えなければならないのが素材の生かし方。

せっかく使う素材にこだわったとしても、その素材の良さが引き出されなければ、その家の本領が発揮されることはありません。

ですので当建築事務所では、何よりもまず素材の魅力が徹底的に引き出されるデザインにしています。

素材を活かすという単純明快なことを追求すということです。

そのほうが、結果的に質の高い家が出来上がるからです。

不必要に奇をてらったデザインは可能な限り削ぎ落とし、素材の美しさが際立つデザインに仕上げる。

また、化学製品を使わないシンプルな作りを目指しています。

それは逆を返せば、ごまかしがきかないということ。

だからこそ、これからも住む人のことを考え、良い家づくりに挑戦して参ります。

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