人生の真ん中に趣味を配置した邸宅

Vol.2

良いデザインとは、『調和』のとれた空間のこと

デザインにおいて最も大切にしていることは、家全体から見た時の『調和』です。

依頼主がその家に実際に住んだ時に、暮らしの邪魔にならないか、 暮らす上で心地よさを感じられるかなど、高い抽象的な視点から家全体を俯瞰して、デザインを作っていきます。

そして、この調和を取る上で一番気をつけたいことは色使い。基本的に使用する色の数は抑えるようにします。なぜかというと、家は人が生活をするところであり、人が住む以上、家電製品やキッチン用品、家具など様々な物が増えていき、その分、色の要素も増えていくからです。

ですので、家自体にまで様々な色を使ってしまうと、空間自体がとても騒がしく落ちつかない家となってしまいます。

よく「様々な色を使い、家を明るくしたい」という要望をいただくことがあるのですが、このような要望を聞きれてしまうと、実際に依頼主が住まれてから後悔されるケースが、建築業界には非常に多くあります。

もちろん、施主さまのご要望に沿うことを、大切にしていますが、それにより施主さまが後悔してしまうような家づくりは決していたしません。

この基本概念を踏まえた上で、今回は、「モダン」「シック」をテーマに切れ味の良いデザインに仕上げました。

当たり前となっていることが、生活を不便にさせている

リビングにおけるキモの部分は、何と言っても従来の対面キッチンをやめたことです。

普通、「対面キッチン」というと、キッチンと対面しているのはダイニングです。ダイニングにいる家族と会話をしながら、奥さんが食事を作れるイメージがあるため、とても人気です。

しかし、実際に想像をしてみてください。たとえば奥さんが食事を作っている間、家族はどの場所で過ごしているでしょうか。実はほとんどの場合が、ダイニングではなく、その奥にあるリビングで、テレビを見ながらソファーで過ごしていたり、子供が各自の部屋で過ごしているケースが多いのです。

つまり、キッチンがダイニングと対面していたとしても、料理をしている時、キッチンに立つ奥さんは家族と接することができません。

これでは、家族団欒のような暖かさを感じることができず、むしろ一人で食事を作っている奥さんは孤独を感じてしまいます。

対面キッチンの先に見えるのはリビングであるべき

そこで、今回はキッチンの向かいはダイニングではなく、リビングルームにしました。

これでキッチンに立つ奥さんは、食事をつくる時も、そしてその後片付けをする時も、家族の近くで、家族の様子を見ながら、または会話を楽しみながらできます。

 

日当たりについて:『南側』よりも優先すべき大切なこと

「リビングは南側の日当たりが良い場所がいい」

これも、お客様からよくいただくご要望です。もちろん私もこれについては賛成です。 

みなさまもご存知の通り、「南側」は日当たりが良いので、価値が高く、坪単価もそれに合わせて高いです。

ですが、やみくもに南側を中心に間取りを考えるのは少し危険です。

たとえば、「南側に大きな道路が面している場合」を想像してみてください。当然車も人通りも多く、せっかく南側にリビングを持ってきたのに、道路側から家の中が丸見えになり、プライバシーを守りにくくなります。

その結果、1日中カーテンを締め切らなければなりません。これでは、せっかく日当たりの良さに惹かれて間取りを考えたのに本末転倒となってしまいます。

おまけに夏は、カーテンを閉めても、部屋自体が南側に面しているため、室内の温度だけは暑くなり、とても過ごしにくい空間へとなってしまいます。たとえば、真夏帰宅した際に、リビングに入ると、エアコンがしっかりと部屋を冷やしてくれるまでは、まるで直射日光に当たり続けた車の車内のように過ごしにくいものとなってしまいます。

ですので、「南側だから良い」と安易に考えるのではなく、その地域の気候やその周りの建物の状況、そして山に面しているのか、そうでないのか、など様々なことに配慮して間取りを決めることが大切です。

日当たりのことについて考えるのなら、南側という視点だけではなく様々な周辺環境をしっかり考慮しながら設計していく必要があるということです。

また、これは言い換えれば、工夫次第では南側に面していなくても、日当たりの良い空間は作ることができるということです。

実際、この家についても、土地の気候など様々なことを考慮して、あえてリビングやキッチンルームを南西に持って行きました。また、今回の邸宅の周辺には高い建物がなく、さらにはリビングを2階に持ってきているので、カーテンを閉める必要がなく、心地より日当たり加減を実現することができました。

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